特殊な才能

先日、WOWOWで興味深い人の特集をやっていた。

五代目圓楽一門会の中堅の
三遊亭竜楽、55歳。落語家。

27歳で弟子入りし6年目で真打ち。

彼は
英語
スペイン語
フランス語
イタリア語
ドイツ語
ポルトガル語で落語をし
欧州を巡業しているという。

落語というのは
手ぬぐいと扇子という最小限の物と
声や表情をかえて
1人の人が複数の人を演じ
尚かつ笑いをとる。

果たして落語が欧州で受け入れられるのか…。

ところがこれが
結構人気がある様で
毎年欧州ツアーに行くという。

ヨーロッパの街頭で街行く人に
「日本人にはユーモアがあると思いますか?」と、聞くと

殆どの人が
「日本人は勤勉で真面目だけれども、面白くない」という。

チッ…。
冗談じゃないってんですよ…。

これって屈辱的な事なんですよね…実は。

イギリスあたりだと
「あなたはユーモアのセンスがないわね」と言われるのが
非常にショックな事らしい。

日本人だって面白いんですよ!!!

さて…この竜楽さんの
外国語に訳された落語を聞いて
欧州人は大笑いする。

「日本にこんな面白い文化があったとは驚きました」と
観客は口を揃えて言う。

ふむふむ…。

この竜楽さんなる方…
存じ上げませんでしたけれども
日本のPRに貢献してくださっておりますなぁ…。

さて…驚いたのは
この竜楽さんは実は外国語は全く喋れないという。

まず
日本語の台本を
日本通の外国人に訳してもらう。

それを訳した文章を
外国人が読み上げ
それを録音し
台本にはカタカナで発音を書込み
何度も録音データーを聞き、丸暗記するらしい。

全く外国語が喋れないのに
丸暗記する集中力と
耳がとてもいいのでしょうなぁ…。

発音も悪くない。

これには驚きましたね。

また日本語の台本を訳す外国人のセンスがいい。

そういった人達に支えられているわけですね。

例えばフランス語。

日本語の
「ふざけるなよ」というのを直訳しないで

「お前は小さなバカだね」と訳すと
ニュアンスは「ふざけんなよ」と、伝えつつ
フランス人にはウケるらしい。

確かにこの直訳せずに
お国柄にあった言葉に変えて訳すのは
とても重要だと思いましたね。

私はヨーロッパの言語はわかりませんから
仮に米語に例えると

『Get out of here』
(ゲット アウト オブ ヒアー)
これは「ここから出ていって」ですよね。

しかし
相手が親しい間柄に限った場合
ちょっとイントネーションを変えると
「マジかよ!!すげぇなぁ…お前。ありえなくね?」という言葉に変わる。

『Get out of here』
(ゲェー!ラァ〜ロォブ ヒィィー)

この竜楽さんは
外国語も読めませんから
全部カタカナで書き込む。

耳で聞いたまま書込みますから
決して
ゲット アウト オブ ヒヤーとは書かない。

出ていけの場合は
「ゲェラァ〜!(ラァを強く)ロ〜ブヒィィー」と、書込み

お前すげぇなぁ…マジで…の場合は
先ほどの様に書き込む。

この聴覚の鋭さはたいしたものだと思った。

しかし日々、暗号の様なわからない言語を
必死で暗記する竜楽さんの事を

兄弟子の有名な6代目圓楽なんかは
あまりよく思っていないようですね。

もっと本業…すなわち
日本語での落語をしっかり勉強しろ!という事なんですね。

それは私も思いました…。
だって下手なんですもん…竜楽さんの落語。

大変申し訳ありませんが
竜楽さんは(日本語での落語は)才能がないとみた。

10年前から始めたヨーロッパ巡業。

師匠の故5代目圓楽師匠は
「どんどん頑張れ」と勧めてくれたらしい。

外国語が喋れないのに
外国語を丸暗記して音で発音を完璧に覚え
外国人から笑いを取る。

これも1つの才能だと思いました。


酔っ払いの小話。有名な古典落語ですな。

飲み屋さんで
酔った年配の男性と酔った若い男性が
意気投合する。

「今度うちに遊びにこいよ。
うちはね、この通りをまっすぐに行くと神社(教会と言っている)があるから
そこの左側の家だからさ。」

「へぇ…そうですか。わかりました。
でしたら
うちにも遊びに来て下さいよ。
うちはね、この通りをまっすぐに行くと右側に神社があるんですよ」

「へぇ…そうかい。
ん?あれ?
お前…それはうちだよ。
お前、うちを乗っ取るつもりかよっ!」

「ふざけるんじゃないよ。
そこはうちだよ!お前こそうちを乗っ取るつもりじゃないか!」

と、喧嘩になる。

それをみていた人が
「親方…あの2人、喧嘩になっていますけど
大丈夫でしょうかね?」

すると親方が
「大丈夫だよ。あの二人は親子だから」

というオチ。

ここで外国人は大爆笑する。

竜楽さんの落語は口コミで広がり
今度はパリの大舞台でおこなわれるらしい。

日本での落語はお世辞にも上手とは言えませんが
ある種の特殊な才能をお持ちだったんですね。

日本のPRのためにも
是非頑張って頂きたいと思いました。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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