歴史の…

古典落語を聴いていると
非常に勉強になる。

日本史の教科書では学べない
江戸時代の文化なんかを知る事が出来て
非常に興味深いですね。

まぁ中には…これは学校では
教えてたくても教えられないなぁ…なんていうのもありますがね。

まず知っておくと
落語を聴く時にわかりやすい…というのが
当時の貨幣価値。

千両箱なんていう言葉がありますが
一両というのが現在で言うと6〜10万円位なんだそうですね。

また江戸は職人さんが多かったわけですが
職人さんの年収が15〜30両位だったらしい。

ただ当時の貨幣価値というのは
金やら銀やらの相場がありまして
何度読んでもよくわからない。

細かいコトは落語でいう“はしょって”
ざっくりとその程度の知識で落語を聴くと
尚一層面白みが増す。

さて…
江戸の当時の相場表なるものがありまして
これを見ていると非常に楽しい。

米 一升 1680円
風呂屋 大人 132円
わらじ  1足 248円
下駄   1足 825円…
なんて生活必需品の相場を眺め

「なるほどねぇ…。『湯屋に行ってきます』なんていう台詞がよくあるけれども
この金額なら行けるよなぁ…。
だから日本人は清潔だったんだなぁ…」なんて感心する。

鮨  1貫 132円
「へぇ…。100円寿司か…。
2貫で260円だからかっぱ寿司よりちょっと高めだな。
がってん寿司だな…」なんてね。

宿泊費 一泊二食 4870円。
「アパホテルより安いな…」

こんな風に歴史を勉強すると
もっと楽しい授業になるんじゃないかなぁ…。

不倫の示談金  495000円(7両2分)
おやおや…
これは授業では教えられませんな。

しかしこの不倫というのは
江戸時代は不義密通と言って
不倫をおかした男女とも重罪だったはず…と
Googleで検索したら
これは武士に限った定めだったようですね。

一般庶民は
三行半(みくだりはん)を渡されて
家を追い出されたり
場合によっては番所に届けられる場合もあったらしいですが
「まぁまぁ…和解しなさいよ」という事で
示談という事も多かったらしい。

この示談金の相場が7両2分だったという。
現在の50万円弱。すごくリアリティがあるな。

これも授業でやれば
生徒は結構真面目に授業を聞くんじゃないかなぁ…。

もう少し掘り下げて吉原へ。
吉原とは遊郭…つまり殿方が女性を相手に遊ぶ所ですね。

親の病の薬代の為、娘が吉原に身売り  50両  330万円

夫の窮地を救う為、妻が吉原に身売り  80両  528万円

あら…娘より人妻の方がお値段が高いのね。

私が想像するに、この妻の身売りに関しては
例えば武士の妻なんていうのもあると思うんですよ。

落語でも
「あの花魁(おいらん)は元お武家様の奥方で…」なんていう描写がありますが
身分制度が厳しかった江戸時代…
武士の妻といえば、身分の高い女性でありましたから
そういった女性に対しての
付加価値がついたのかもしれませんね。

色事のお話はこの位にいたしまして
江戸時代で大切だった学問が
読み書きそろばん。

読む、書く、計算する…という事ですが
江戸時代の日本人の認字率、就学率は
ダントツで世界一だったんだそうですね。

武士は100%
庶民でも半分以上は読み書きが出来た。
江戸の中心部になると90%の庶民が
読み書きが出来た。

これは例えばイギリス最盛期のヴィクトリア時代でさえ
当時のイギリスの庶民の認字率はわずか10%ですから
いかに日本が教育熱心な国だったかわかる。

また就職率も
イギリスの20〜25%に対して
日本は75%〜80%。

驚くのは東京の赤坂、日本橋に関しては
男子より女子の就職率の方が高かった。

1960年代になってウーマンリブという女性解放運動が世界ではじまり
日本でも男女雇用均等法ができましたけれども
江戸時代というのは
仕事をする女性が当たり前の時代だったんですね。

これは世界的にも進み過ぎている位
進んでいたと思います。

生き生きとした江戸文化に思いをはせながら
今宵も一席、聴きたいと思います。

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浮世離れ

昨日、親戚のお兄ちゃんが治療に来た。

お兄ちゃんには
小さい頃から勉強を教えてもらったり
小学生の頃にゴダイゴや原田真二の
コンサートに連れて行ってもらったり
毎週スキーに連れて行ってくれたりと
とにかくよく面倒をみて可愛がってくれた。

お兄ちゃんは何と申しますか…
実家がとても裕福な旧家なので
働かなくてもいいのよね。

何やら『禅』について色々研究をしているようですね。

彼は博識があり
とても品のある人なんですが
何と申しますか…
浮世離れしているのね。

あくせくと働かなくていいから。

またあくせく働かないから
面倒な人間関係にもまれた経験もないので
ピュァな人なんですね。

まさにTHE浮世離れ!という人。

昨日も治療が終わると
「チヒロ…
『遠くから鐘の音が聞こえた』と
『私は遠くから鐘の音を聞いた』の違いがわかるかい?」

また始まったよ…禅問答的なヤツが。

あのですね…
こちらは仕事中なんですよね。

他の患者さんが待合室でお待ちなのよね。

お兄ちゃんはそういった空気感は全く読めないのね。

浮世離れしているから。

私は手短かに
「前者は受け身な印象を受けるし
後者は自己主張があるわね。
後者の方が西洋的なんじゃないの?」と、言うと

嬉しそうに
「お!チヒロ!さすがだなぁ…。
『遠くから鐘の音が聞こえた』というのは
非常に奥ゆかしい日本人の考え方なんだな…(遠い目)」

いやいや…遠い目とかしてないでくださいよ。
センチメンタルになっているし…。

こっちは仕事中なんだからさ…と
ちょっとイラッとしてしまったんですな。

「でもお兄ちゃん、
結局
『私は遠くから鐘の音を聞いた』という人じゃないと
世界を相手に政治なんかできないからね。
納税者としては
あまり“奥ゆかしい”人だと困るわけよ。
私だったら
『私がっ!鐘の音を鳴らす!』ぐらいがいいわね。
頼もしくて。」と、言ったんですね。

お兄ちゃんは
もっと色々と話したかったのでしょうけど
ぐうの音も出ずに
「ハハハ…チヒロらしいな」と、言って帰っていった。

後で保険証を見ると
お兄ちゃんも還暦をとっくに過ぎたんだなぁ…と、驚いた。

お兄ちゃんはとても素敵な奥様がいて
子供がいないから
いつも奥様と2人で行動を共にされている。

誰かと話をしたいんだろうなぁ…と、思った。

私の父が生きていた頃は
父とよくお酒を交わしていましたね。

彼は昔から禅問答の様な話をするから
うちの父にも
「まったくもう…お前の言っている事はまどろっこしい。
結論を早く言えよ」と、よく言われていたけれども
仲良しだった。

私は小さい頃はお兄ちゃんの言っている事が難し過ぎて
チンプンカンプンでしたけれども
最近では父の代わりに
お相手出来る年齢になったと思う。

時間にゆとりがあって
お兄ちゃんの好きなワインなんかを飲みながら…なら
いくらでも彼の話にお付き合い出来るんだけどな。

しかし「仕事が忙しくて」と、言って時間を作らないと
大切な人は突然いなくなってしまう…というのは
最近痛感する様になりましたから
お兄ちゃんの為に時間を作らないとなぁ…と、あらためて思いました。

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古漬け

先日、ブログで書込みをいたしたました
7カ国語の落語をやる竜楽さんなる人のドキュメンタリーを観て…。

肝心の日本語での落語は
お世辞にも上手いとは言えないものですから…

ちょいとここで名人の落語を聞きたくなりましてね。

原点回帰と申しますか…
小さい頃から父と一緒に
カセットテープで聴いて育った一流の落語。

ここ数日、寝る間を惜しんで(?!!)
聴いておりました。

やっぱり名人と言われる人の落語は
とにかく上手いですねぇ…。

故立川談志に
「金を払って聴きたい落語は志ん朝だけ」と、言わしめた
故志ん朝の落語をYouTubeで聴いて
「やっぱり上手いなぁ…」と、時には笑い
時にはグッと涙ぐみながら感動しておりました。

さて…志ん生、志ん朝
この名人親子の落語で
特に好きなお題を3つ挙げろと言われると
これ…相当悩みますが
火焔太鼓、文七元結、唐茄子屋政談…ですかねぇ…。

さて…話は変わりますが
昨夜は志ん朝の
「酢豆腐」という話を聴いていた時の事。

この話の中に
古漬けの話が出てくる。

ぬか床に漬かりすぎてしまった古漬け。

これを
細かく刻んで
水にさらして塩抜きをしてフキンでキュッとしぼって
刻みネギと鰹節を散らして…
ほんの少しのキリ(お醤油)をかけて…という描写がある。

上手い人の落語の描写というのは
聴いているこちらも
古漬け食べたい…と、ゴクリと生唾を飲み込みますな。

あ〜あ…。
どうしても食べたい!!と、なった。

古漬けはそのまま食べると
酸っぱくてしょっぱくて食べられたものではない。

ぬか床のお漬物は
やはり浅漬けがいい。

しかし古漬けというのは
この落語の描写の様に
ちょっと一手間加えて…つまり
水にさらして塩抜きして固く絞り…

ごま油と鷹の爪なんかで炒めると絶品ですし

刻みネギにミョウガを薄くスライスしたものと
鰹節なんかをかけてね…。
すだちをちょっと絞ってね…。

これはこれで絶妙に旨い。

あー!!!食べたい!!!!古漬け!!!!

しかし
この古漬けっていうのは
スーパーには売っておりませんからね。

また漬ける人も
わざわざ「古漬け」を作ろうと思って
作るものではない。

毎日、ぬか床をかき回していて
うっかり1つか2つ
取り忘れてしまったりして出来る代物ですからね。

なかなかお目にかかれない。

昔は祖母がぬか床を管理しておりましが
「あら!うっかりカブがつかりすぎちゃったよ」とか言って
時々お目にかかる物。

もう…何年も食べていないなぁ…。

こうなると
ぬか床をやるか…と、なるのですが
今の家に越してきて3回程ぬか床は途中で挫折。

だいたいダメにしちゃうのね。

3度目のは
「ヨーグルトをぬか床に入れるといい」と、聞いて
輸入物のちょっと高めのヨーグルトを入れたら
変な味になっちゃった。

夫の実家のぬか漬けが美味しい。

またぬか床をわけてもらって始めてみるか…と
思案中でございます。

ああ…古漬けが食べたいなぁ…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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